収納に扉って必要?収納建具なしのメリット・デメリット

賃貸でも戸建でもマンションでも、収納には扉がついていることがほとんど。折れ戸、開き戸、引き戸などの種類があり、中でもクローゼットなどの床から天井まである収納スペースには折れ戸がよく使われています。わが家は建売住宅ですが、建築初期の契約だったため、あえて「建具なし」をお願いした収納スペースがいくつかあります。今にして思えば「他の収納スペースも建具なしにしておけばよかった!」と思う程個人的にはメリットの方が大きいのですが、このコラムではデメリットも併せてご紹介します。

メリット

デメリット

岸上 のぞみ 整理収納アドバイザー/ルームスタイリスト
3階建て2階リビングの建売のお家で、夫と息子と私の3人、時々保護猫と暮らしています。ノウハウだけでなく、自分の心の声や感覚に気づき行動することを大切にしたお片づけレッスンなどを開催。
Instagram:@nozomi_kurashi
webサイト:日々柔-hibinew-

メリット1. コスト削減

建具なしを選択することで、その建材分のコストがマイナスになります。ただしタイミングによっては変更が難しくなるので、家づくりを検討中の方はなるべく早めに工務店などに伝えてくださいね。

間取り図

メリット2. 収納スペースを最大限有効に使える

収納建具があることで、デッドスペースが発生します。わが家にある折れ戸を開けた際の幅を計測してみたところ、1連折れ戸で約15.5cm。3連折れ戸では約40cmもの幅が。

3連折れ戸の幅

夫婦のクローゼットは3連折れ戸で、「ここも建具なしにしておけばよかった!」と思う場所です。収納の中の引き出しが折れ戸に干渉してしまうのを防ぐため、奥行85cmほどあるクローゼットに対して44.5cmと奥行浅めの衣装ケースを使用しています。

クローゼットの引き出しと折れ戸の干渉対策

メリット3. 動作と動線がスムーズ=片付けやすい

特に折れ戸の開閉は意外と面倒。こどもが日常で使うものを開け閉めして片付けるのは難易度が高く、散らかる原因に。さらに、指をつめるリスクも心配ですよね。

こちらは両開き戸。隣接する廊下は1マス(実寸ではなく図面で910mm幅)と狭いので、扉幅約30cm分廊下スペースが圧迫され、動線が悪くなります。

階段下収納の両開き戸

建具が付くことで、天井や床にレールや段差が発生してしまうのも見落としがちなところ。建具なしだと床がフラットで、ものの出し入れがスムーズなだけでなく、掃除もしやすくなります。

建具のレール

メリット4. 部屋のレイアウトの自由度が上がる

建具なしを選択すると、収納部分だけではなく部屋の他の部分にも影響があります。こちらのキッチン飾り棚の右側には収納スペースがあり、当初は折れ戸が付く予定でした。折れ戸がついていた場合、扉が干渉してしまうのを避けるため、飾り棚の横幅を短くしなければならず、収納量が落ち、見た目のバランスも悪くなってしまいます。可動式の折れ戸なら反対側に寄せることもできますが、通路幅が狭くなり、動線が悪くなります。

キッチン横の建具なし収納

現在寝室として使用している部屋も3連折れ戸が付く予定だった場所。こども服などを収納していますが、建具なしを選択したことにより、6帖の部屋でも建具の幅を気にすることなく家族3人の就寝スペースを広々確保することができています。

建具なしの子供服収納

メリット5. 湿気がこもらず通気性が良い

梅雨時期に気になるのが湿気。特にクローゼットなどは通気性が気になります。
こちらのクローゼットの折れ戸は、通気性や動作の面から基本的に開けっぱなしです。閉め切った状態が長く続くと風通しが悪く空気がこもってしまうので、衣類に限らずものの劣化を早めてしまいます。

クローゼット

このように収納に扉を付けないことで生まれるメリットについてご紹介しましたが、デメリットももちろんあります。次はデメリットをご紹介します。

デメリット1.隠せない

来客時などにさっと隠せて部屋がすっきり見えることが、扉付き収納を選ぶ人が多い一番の理由ではないでしょうか。隠せるという理由で中が乱雑になりやすいので、その辺りは良し悪しのあるところ。

デメリット2.埃がかぶりやすい

建具をつけたからといって埃はゼロではありませんが、オープンにすることで埃をかぶりやすくなるのは確か。長期保管するものなどは建具ありの収納やクローズな収納が向いています。

デメリット3.冷暖房の効率ダウン

建具がない分、冷気や暖気が逃げるスペースが広くなるため、効率はダウンしてしまいます。気になる方は、ロールスクリーンやファブリックなどを扉の代わりにするのもおすすめです。

デメリット4.日焼けに注意 

直射日光のあたる収納スペースは日焼けに注意が必要です。特に本や書類などの紙ものは変色してしまったり、プラスチックの収納ケースなども劣化が早くなりますので建具やロールスクリーンなどをつけるのがベター。

結論:場所や用途によって使い分けを。

いかがでしたでしょうか。個人的には建具なしの収納が気に入っていますが、中にしまうものや場所によって使い分けることが収納計画において一番大事です。これから注文住宅やリフォームを計画される方は、自分や家族のライフスタイルに合わせて収納建具のあり・なしを選んでみてくださいね。

3連折れ戸

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