最近のインテリアの趣向は世代ごとに多少の違いはあれど、ある共通点を感じます。それは「Simple/シンプル」なこと。流行もありますが今のインテリアの趣向はシンプルテイストが強く好まれているような気がします。また、カーテンにとらわれず、シンプルなウッドブラインドやバーチカルブラインドなどを希望されるケースも増えてきました。
それがゆえに、ゴージャスに見えるバルーンシェードやバランス飾り、ペンシルギャザーなどのスタイルカーテンと呼ばれるタイプを希望する方はほとんどいなくなりました。
その理由として、家具はシンプルなものを好まれるのでインテリアのバランス面から見ても合わせることは少ないのでしょう。しかしながらカーテンの柄も無地があまりに多いと、窓という一番個性を演出できるインテリアエレメントを上手に生かせないのではないでしょうか。
センスがよく見えない3つの原因
シンプル好みでも無地で無難な色を選び、それと似たような色のソファをコーディネートしても下の(ア)の写真のようにあまり素敵にみえないのは何故でしょう。その原因を3つ挙げてみます。
1.カーテンのボリュームとソファの高さ
(ア)の写真ではカーテンを寄せたことによる生地のボリュームとソファの背のボリュームがアンバランスになっているのはおわかりでしょうか?
同じファブリックでアイテムが異なると、余計にそのボリュームのバランスが大切になります。写真のようなカーテンの場合はソファの背もたれの高さがカーテンを束ねるタッセルくらいまであるとソファのボリュームができて安定感を作ることができます。
左右対称は色だけではなくその素材、アイテムのボリューム感も配慮する必要があるのです。
2.色の位置
リビングなどの大きな窓周りはテレビを置く位置が限定され、またソファの形状によっては置く場所の選択肢がないことも。
そのため窓のカーテンを両開きにしたくても、窓にカーテンがかかることを避けるために、カーテンを片方に寄せて束ねるということになります。そうするとカーテンの色の配色が窓に対して偏ることになってしまいます。
更にそのリビング内に同色のソファを置くというコーディネートをすると余計に窓に対して色が斜め対象という不安定な配色を作ることになります。
人の視覚心理は“左右対称” “黄金比”というバランスを美しいと感じるように出来ていますので、色の位置は基本的に左右対称にすることが望ましいと言われています。
3.色の分身としてのクッションの役割
ベージュやブラウンという色はモダンティストにもナチュラルにも演出できますが、(ア)のソファの上に置かれたクッションはそのどちらでもないティストです。
無造作に選んで置いたかもしれませんが、このクッションの存在はインテリアの仕上げとしては「あってよかった!」というベストの物ではないことが言えます。分身する色は小物だからこそ大切な役割を持っているのです。
インテリアの空間を作るときは先ずベースとなる色、素材感などを決めます。次にそのベースに合わせて補色、補助するものを選び、最後にアイキャッチ、ポイントカラーと言われる物で仕上げることが多くあります。
しかし、そのアイキャッチを間違えると、「無い方がよいのでは?」という空間になってしいます。アイキャッチにする素材、柄、色、アイテムなどはクッションに限らず、壁紙、絵やランプ、テーブルランナー、スローカバーなどインテリアアクセサリーと呼ばれる物を上手に選ぶと完成度の高いインテリアになります。
カーテンの生地は無限の表情を持つ
インテリア空間の仕上げにおいてインテリアの完成度を左右するものはウィンドゥトリートメントといっても過言ではありません。
中でも、カーテンをどのようにするかは本当の意味でのセンスがわかります。
ウェーブの少ない生地は柄物でカバー
最近は価格重視でカーテンの値段を抑えてつくられている商品も多くなり、カーテンの仕上がり生地は1.5倍ヒダといった綺麗にウェーブが出ず、スローな生地をかけているように見えるウィンドウトリートメントを見かけるようになりました。
そういったウェーブが綺麗に出ないときのカーテン生地は無地よりやや柄の入ったものを選ぶとウェーブの少ないことを目立たせないようにでき、また織り模様でもその効果を作ることができます。
オーダーで「あるほうが素敵!」なインテリア
例えば、柄ものや織物などのカーテン生地を使ってカーテンに仕立てるものと、同じ生地でクッションに仕立てるのでは生地の雰囲気、見え方が違ってきます。
カーテンは通常2倍ヒダとしているメーカーが多く、生地によっては2.5倍、3倍ヒダとすることもあります。そうすると無地はそのウェーブの凹凸による影などで表情が変わり、柄もの、織物も見え方が変わってきます。
同じ色、ティストでも見え方が違うというアイテムを作ることで「ある方が素敵!」といえるインテリア空間を作ることができるのです。そういう意味でもカーテン生地は既成品よりもオーダーできる生地で作ること素敵なインテリアを作る可能性が広がります。
個性を出すカーテン生地の使い方
同じカーテン生地でもウェーブのない生地をパシっと貼ったように仕立てるカーテンスタイルがあり、ロールスクリーン、シェードなどがそれにあたります。
ロールスクリーンは液体に生地を浸してパリとさせるので、全ての生地をロールスクリーンに仕立てることができるわけではありません。風合い、生地のたたみの面白さを作るという意味ではシェードの仕立てになります。
このように柄ものを効果的に使い、よりセンスよく見せることができるのはカーテン生地の存在であり、その生地を使ってシンプルな部屋をより素敵に作りこむことができるのです。
シンプル×シンプル=オリジナリティスタイル
シンプル傾向のインテリア趣向ですが、今回ご紹介してきましたように、左右の配色効果、色のボリューム、無地より柄があることの効果、またオーダーカーテンの醍醐味など、究極のセンス良いシンプルというのは計算されたシンプルだと思います。予算がなくてもシンプルな演出は工夫次第で出来ます。下の写真のように木製ブラインドにレースカーテンをコーディネートするというのは日本ではあまり見かけませんが、ヨーロッパなどのホテルや住居ではよく好まれています。
シンプルでもシンプルを掛け合わせることでオリジナリティが生まれることを知っているからですね。これからの日本のインテリア市場でも、シンプル傾向と言えどその中でオリジナリティを確立していきたいですね。