片付けには大きく「時間」「お金」「心」の効果があると言われています。私が実感しているのは「自分自身との関わりや捉え方」。それは大きな成功みたいなものではなく、等身大の日々の暮らしを自分らしく続けていくことに、とても必要なことでした。そんな片付けてよかったこと3つをご紹介します。
- 岸上 のぞみ 整理収納アドバイザー/ルームスタイリスト
- 3階建て2階リビングの建売のお家で、夫と息子と私の3人、時々保護猫と暮らしています。ノウハウだけでなく、自分の心の声や感覚に気づき行動することを大切にしたお片づけレッスンなどを開催。
Instagram:@nozomi_kurashi
webサイト:日々柔-hibinew-
1. やりたいことができる。モノとコトの動きがスムーズに流れ出す。
日々の中で「料理をしよう」「パソコンを開いて仕事しよう」など、何かを始めようと思った時にストレスなく動けることは、片付けの醍醐味です。部屋が片付いていたり余白があるということは、やりたいことや新しいものを迎える準備が整っているということ。そうすると、その時々で湧き上がってくる「やってみたい!」をキャッチして行動にうつすことができます。逆にやりたくないことを手放したり、やり方を工夫して解消したりすることも、片付けで得られる選び取る力の一つ。
もちろんやってみて違った。なんてこともありますが、それでも選択して、行動していくことそのものが経験として財産になっています。
2. 自分自身の小さな声を聞く習慣がつく
片付けは「部屋をきれいにする」だけではなく、自分に心地よい空間を与えてあげる、セルフケアの一環だと感じています。時々ものの見直しをすることで今の自分がしたい暮らしにフォーカスできたり。「ここに置いた方が取る時もしまう時もラクだな。」と違和感に気づいて配置を修正したり。そんな小さな行動の繰り返しが、「どうしたい?」と自分の声に耳を傾ける習慣につながっています。
それを続けていると、違和感が小さいうちに気づいて耳を傾けることができるようになってきます。掃除で例えると分かりやすいのですが、ついたばかりの汚れは簡単に落ちるけれど、1週間、1ヶ月と長い時間放置した汚れは落とすのにすごく時間と労力がかかります。そうやって家に手をかけるように、自分の内側は目には見えないからこそ、たくさん会話して聞いてあげたい。「自分の内側の声を聞く」というフレーズを最近ではSNSなどでもよく見かけますが、一体どうやって?という方は、まず片づけを始めてみるのがとってもおすすめです。
3. 出会いと繋がり
片づけを学んだからこそ出会えた人たちがたくさんいます。片づけのお仕事で家の中のものを一緒に見ていくと、本当にどの方もこれまで懸命に生きてきた人生が垣間見え、私自身、子育てをしながらの限られた時間でも、誰かの人生に触れさせていただく仕事ができていること。これは本当にありがたいことだと感じています。
そしてもうひとつ。家の中を整え、暮らしにフォーカスしていると、家の外、つまり環境や社会と自分たちの暮らしの繋がりに気づくようになりました。恥ずかしながらこれまで無関心だった政治にも、私たちの暮らしや子どもたちの未来に直結していると気づき、関心を持つようになりました。また、日々当たり前のように自然から受け取っているものの大きさに気づき、家の外を含めての「暮らし方」を考え始めるようになりました。
片付けで変わったこと、変えられないこと
片付けで人生が変わった!という人の大半はおそらく、自分の声を素直にキャッチして、それを自分で叶えてあげようと行動できたからこそ。これまでの思い込みを一つずつ手放して本来の自分に戻っていくようなイメージで、変わるというより、誰にも変えられない自分自身の大切さがはっきりしただけなのかもしれません。
片づけの中でも必要なものと不要なものを区別する整理は、特に何かを買い揃えなくても、自分の身ひとつでできます。今、「変わりたい」「変えたい」と感じている方は、片付けをしながら「自分自身の大切さ」をひとつひとつ感じ取ってほしいなと感じています。