こんにちは。整理収納アドバイザー、ルームスタイリストプロの 岸上 のぞみ です。3階建て2階リビングの建売のお家で、夫と息子と私の3人、時々保護猫と暮らしています。
最近よく見たり聞いたりするようになったサステナブルやSDGs。暮らしに取り入れるひとつの方法として、実は整理収納も深く関わっています。「え?整理って捨てるからエコではないのでは?」そう思っている方にこそ読んでいただきたいお話です。
「もったいない。」は大事な感情。
「もったいない」は不要なものを手放すときに多くの人が感じる感情です。お片づけにおいて邪魔もの扱いされがちなこの感情。「買ったとき高価だった」という金銭的な面と、「まだ使えるからもったいない」というものの寿命の面、この2つがほとんどです。特に後者の「まだ使えるもの」は、環境の面を考えても「捨てるのはもったいない。」という感情はあって当たり前のもの。
それでも自分が使うことがなくなったり、使うときに気持ちが重くなるのであれば、自分の内側の声に従って手放す決断をするのは悪いことではありません。
整理とは捨てることではなく、自分にとって必要なものと不要なものを区別すること。整理を続けていくと選ぶ力がついてきます。不要なものを捨てるのか、人に譲るのか、寄付するのか。手放す方法も自分で選ぶことができます。手放し方についてはこちらの記事も併せてご覧ください。
家の中の不用品。「捨てる」以外のサステナブルなおすすめの手放し方
つくる責任、つかう責任
SDGsが掲げる17の目標のうち、12番目に「つくる責任、つかう責任」という項目があります。大量生産されたものが安価に売られ、買う側は「安いから」「ネットでいつでも気軽に買えるから」と必要以上に消費して、短いサイクルで使い捨てる。結果、大量のゴミとCO2を排出することにつながっています。
日本では少子化が叫ばれていますが、世界全体では人口が増え続けています。
2000年に約61億人だった人口は、2020年には約77億人。2050年には約97〜98億人まで増えると言われています。それに伴いゴミもCO2も増え続ければ、私たちの暮らす地球はどうなるでしょうか。
整理収納で実現できるのは、地球や社会といった大きなスケールのことを考える前に、まず「自分にとっての適量を理解する」ということ。そして家に新しくものを迎え入れるときは「長く使う」という前提でよく考えること。必要以上にものを買わない、ものを増やさないようにすることは、決して我慢することではありません。自分の暮らしが整いはじめ、家計の節約や自分の自由な時間とスペースが増え、あなたが本当に欲しかったものや本当にやりたかったことが叶うかもしれません。
ものを新しく買うときは背景を想像する。
たとえば新しく収納用品がほしいと思ったときにできることをご紹介します。
- ひとまず空き箱や紙袋など、あるもので代用してみる。
- 新品ではなくフリマアプリなどのセカンドユースの選択肢から購入する。
- プラスチックではなく、自然素材のものや、再生プラスチックなどリサイクルされた素材のものを選ぶ。
- いろんな場所で使いまわせて長く使えるものを選ぶ。
- 飛行機やトラックなどの輸送時にもCO2は排出されることから、出来るだけ近くで生産されたものを選ぶ。
すべてをクリアしていないと購入してはいけない、ということではありません。まず一度立ち止まって考えてみる。あなたの手元に商品として届くまで、どんな環境でつくられ、どんな工程で運ばれてくるのか、ものの背景を知ろうとすることが大切です。
人と環境。片づけの力。
ものを買いすぎて家のスペースが圧迫されて「暮らしにくいな」と感じたり、安くて買ったけど全く使わず、使いたいという気持ちにもならない。そんな経験を否定する必要はありません。むしろ、そんな経験があるからこそ「自分が管理をするのにストレスに感じない適量」に気づくことができます。「今度からなんとなくで買うのはやめよう。」と自分の腑に落とすことができます。
ひとりひとりが自分にとって心地良い環境をつくり、心地良い手放し方を選ぶ。そうすることで必要以上の過度な消費が減り、やがて大量生産大量消費から適切な循環へと社会が変わっていく。片づけの力は、現代においてとても大きいと感じています。